ナビなしで走れますか?
「赤い屋根の角で曲がってください。」
それだけ言われて、安全に運転できますか。
道のりは長いのか。
渋滞しているのか。
細い道なのか。
広くてスピードが出やすいのか。
分かっていれば、安心して走れる。
距離優先か。
道幅優先か。
ナビがあるから、選べる。
ナビは初心者だけのものではありません。
慣れている人にも必要です。
洋裁も、目的地だけでは走れない
「ここを縫いましょう。」
「丁寧にやりましょう。」
それだけでは、迷います。
本や動画は、目的地を示します。
でも、
どこまで整えてから縫うのか。
何を確認してから進むのか。
ズレが起きたらどこを見るのか。
そこが曖昧なままでは、必ず止まる。
なぜ大きい服は原因が見えにくいのか
大きな服は、やるべき場所が一気に増えます。
型紙は長くなり、把握しづらくなる。
裁断は、輪裁ち。長い直線。大きなカーブ。
わずかなズレが、全体に拡大する。
アイロンも同じです。
洗濯物のシワを取るアイロンと、
製作物を整えるアイロンは別物。
押さえる場所。
逃がす場所。
固定する場所。
意味を理解していなければ、
ただ温めているだけ。
準備が曖昧なまま進めば、
ズレを押さえ込む。
厚みを力で越える。
つじつまを合わせる。
形にはなる。
でも、
なぜ歪んだのかは分からない。
一番まずいのは、原因を特定できないこと
地の目が通っていない。
縫い代幅が揃っていない。
型紙が検証できる状態になっていない。
これが悪いのは、仕上がりが悪いからではありません。
原因を特定できなくなるから。
橋が落ちたとき、
設計データがなければ検証できない。
洋裁も同じです。
ズレが起きたら、型紙と比べて見る。
どこで差が生まれたのか確認する。
これをしなければ、
何着縫っても同じところで止まります。
原因が分からないまま進めても、
仕上がりが良くなる未来はありません。
見る場所が変われば、縫いは変わる
江戸時代の台所に立ったら、
いま、あなたが誇らしく出せるあの料理は、
同じように作れるでしょうか。
いつもは軽やかに焼けるパンも。
温度を読んで仕上げる煮込みも。
家族に「おいしい」と言われる一皿も。
火は自動でつかない。
温度も表示されない。
道具の形も違う。
あなたの腕が消えたのではない。
環境と道具の扱い方が変わっただけで、
力は発揮できなくなる。
洋裁も同じです。
ミシンが悪いのではない。
生地が難しいのでもない。
準備と扱い方が整っていなければ、
あなたの力は出せない。
ゴム入りスカートは直線走行の最終訓練
真っすぐ縫えるようになることが目的ではありません。
なぜズレるのかを知る。
布が引っ張られたのか。
縫い代幅が揺れたのか。
厚みを無視したのか。
ズレには理由がある。
ズレない縫い方の実技を持っていなければ、
原因は見抜けない。
クランクや坂道発進を知らずに公道に出ると危ないのと同じ。
服を縫おうとして、
何が何だか分からなくなる理由は、ここにある。
ゴム入りスカートで、
目線の置き方。
手の添え方。
送りの安定。
厚みの整理。
ここを終わらせる。
直線が整えば、全体が整う。
しつけ縫いが別世界をつくる
まち針は固定する道具。
でも縫っている間の動きは止められない。
しつけ縫いを足すと、布は面で安定する。
超初心者のあおいでも、柄合わせができる。
縫うことだけに集中できるミシンは、
今までとは明らかに別世界。
技術が足りなかったのではない。
準備が足りなかった。
分量差は、服が服であるための条件
襟に分量差がなかったらどうなるか。
首に沿わない。
外に広がる。
エリマキトカゲになる。
差があるから、立体になる。
赤ちゃん服は簡単ではありません。
サンプル屋で年間数百枚縫っていた小川でさえ、
ベビー服をエリマキ状態にした。
それほど、赤ん坊の首は難しい。
服作りは、
理論を知り、
差を理解し、
対策を持って挑戦するもの。
感覚任せではなく、
理由を知って積み上げる。
一着で終わらせない
偶然きれいに縫える人になるのではなく、
理由が分かる人になる。
ズレたら気づける人になる。
次に縫うとき、
もう同じ迷いに戻らない人になる。
あなたの時間を、
理由の分からないやり直しに使わせない。
ほどいて終わる一着ではなく、
積み上がる一着へ。
その設計ごと、渡します。
おうちソーイングマジック。